政策を語ることにおいて有利な面。そして「公開」されるということ。

「 公開政策討論会 」というくらいだから、3人の候補者はそれぞれ新城市についての政策をお持ちでらっしゃる。

政策実行には当然財源が必要で、だからこそ夢のような政策を提案しても「それホントにできるの?」という素朴な疑問に答えられる財源的な裏付けが説明できなければ、有権者を白けさせてしまうだろう。

話は少しそれるが、議会報告会でいつも話題に上るのは「名古屋行直行バス」のこと。
現在の運行状況が主な批判点で、乗客が少ないとか赤字でいいのかとかこのまま運行を続けていいのかとか、一々ごもっともな指摘だ。

良い悪いはともかく、財政的に裕福でもない新城市が取りあえずはほとんどお金をかけずにバスを買い、名古屋まで運行させる環境を作り上げた点は褒めてやりたいと思っている。
特にバス購入はかなり大きな買い物で、先にも挙げたけど財政的に豊かでもない新城市がよくも買えたものだと感心している。

話を聞くとこのバス購入などは補助金を活用して、市としてのお金は使わずに成し遂げたものであるとのことだ。
ウマくしくみを使えば、こんな魔法のようなことができてしまうのだな。
(もちろん補助金なのだから、買った後どう効果的に運用できているかの実績作りや報告が大切だ。)

こういう補助金の知識とかいう感じの政治的な、あるいは行政的なテクニックと言っていいだろうか、こんなことを果たして白井氏、山本氏は知っているのだろうか?という疑問がある。

白井氏は議員として市政に長く携わってきたので多少はそういう知識もお持ちかと思う。
山本氏はどうだろう? かなりの勉強家だし、お仕事でも役所との付き合いがある方とお見受けするから少しは知っているだろうか。

とは言っても、やはり市長を3期務めた穂積氏は先に挙げた補助金の使い方や、現在の市の財政状況を白井氏、山本氏よりよくご存じだろう。
ご自身が知らなくても行政に長けた職員の皆さんが穂積氏のバックにいる。
穂積氏が素っ頓狂なアイディアを出しても、職員さんから実務的な的確なアドバイスや進言がいつでももらえる立場にいる。
ということを考えれば、穂積氏の政策は整っていて財源的な裏付けのある実現可能なモノになるのが当然と言えるだろう。

松下啓一教授がご自身のブログで「公開政策討論会の意義のまとめ」という記事を書いている。
こちらではこんなことを書いている。

“荒唐無稽な「公約」を出せば、公開政策討論会の場で論争にさらされ、恥ずかしいことになるから、立候補予定者はそんな「公約」は、自制して出せなくなる。何とか説明に耐えられる政策だけを出すように変わっていくだろう。出した政策が厳しい批判を受ければ、それに負けまいと、ブラッシュアップして、実現可能性のある「公約」に磨かれていくことにもなる。無責任な夢のような政策が駆逐され、地に足がついた政策が、出されるようになっていく。“


これはおっしゃるとおりなのだけど、この論でいくならば私が最初に書いたように、“実現可能性のある「公約」”は現職の穂積氏しか出せない。
穂積氏は現実的な新城市の財源、財政をよく知っており、一番的確なアドバイスももらえる非常に有利な立場にいるのだ。

だから実現可能性のある政策の優劣を競えば、必ず穂積氏の提出する政策が一番説得力のあるモノになるはずだ。

で、先のバスの件に戻る。
実際に運用を始めてから現在における状況は知らない。巷で言われている乗客数や売り上げは実際どうなのか?もちろんデータはあるだろうし、調べればわかることだろう。

バスを積極的に応援しているわけではないが、政策というものは「 やってみないとわからない 」という部分もあるのではないか?とも思うのだ。
始めから成功が約束されている政策は無いと言っていいだろう。

例えば白井氏も出馬表明の中で重要3戦略を挙げていて、その中の「観光産業の選択と集中」での具体例のひとつ『「長篠城址整備計画」の見直しと実施』。
長篠城址の整備がホントに観光産業の盛り上がりに繋がるのか? みたいな言い方はいくらでもできる。これはバスも同じだろう。

うまく事が運べば、どんな政策だって新城市を良くしてくれるに違いないのだ。
山本氏の「 人口V字回復 」だって、本当にウマくいくならこんなありがたい政策はない。

とりあえず公約の政策に着手できたとして、ホントにうまくいくのか?
これは現職のバスの件でもわかるようにまだわからないといえるし、新人2氏の政策だってやってみなくてはわからないのだ。


政策(公約)の実現性には少なくとも2つの面があると考えている。

ひとつは、1)「それは始めることができるのか?」
先のバスの件でいえば、補助金を使うとか、財政面のやりくりで財源の捻出可能とか、現職有利で、新人の圧倒的不利な面。

もうひとつは、2)「始めてから成功に導くことができるのか?」
どんな政策も「やってみなければわからない」。
もちろん成功の可能性を何パーセントかでも上げるべく工夫をするのは言うまでもない。その工夫には現実的な手法が提案されなければならないことも言うまでもない。
とはいえ、これは現職も新人も同じ立ち位置と言えるだろうか。


実現可能性のある公約(政策)を、有権者はどのような視点で判断したら良いのだろうか?

テキスト的な判断ではない 「 公開政策討論会 」の重要な意義が 『公開』=誰でもその人となりを見ることができる、そこにあるのだろうと思っている。  

2017年08月17日 Posted by けま at 12:40Comments(2)市長選挙