5月臨時会を傍聴してきた

市議会の話。

市議会において議案が提出されて、議員により賛成反対の意志表示がなされて、そして議案の成立不成立が決まる。
これが大体の流れだけれども、実際には細かなルールがあったり聞き慣れない言葉があったりで詳しくわからないことが多かった。

で、先日行われた5月臨時会議を傍聴に行ったのだが、市議会議長と市議会各委員会の委員長の不信任決議案が実に6回も行なわれるという場面に遭遇した。

同じようなことを6回も。

漢字や英単語を暗記するときは、ひたすら読む書くを繰り返す。
不信任決議案が提出されてその決議が行われるまでの流れを、なんと6回も見せられれば、わからない事の多かった議会で物事が決まる仕組みも漢字や英単語と同じく流石に覚えられるというものだ。

と、まぁ半分は新しい知見を得ることができて満足できた反面、同じことを6回も見せられてあきてしまった気持ちが半分といったところだ。

では満足できたところの「議会で物事が決まる仕組み」的なところで思ったところをいくつか。

今回の不信任決議案のような、事前に議案として上程されていないものを議会で取り扱う場合、その議案が緊急性を要するものか否か? がカギとなる(らしい)。
緊急性があるかどうかを、1)まずは議員皆さんにお尋ねし、2)異議が無ければ、つまり緊急性を要するものであると了解されれば、3)議案として議論に入る。
というプロセスを踏む。

なので、2)のところで誰か一人の議員が「異議あり」と言えば、そこで緊急性を要するものと判断されなかったとして、「議案とはならない」というものらしい。

これは後で書こうと思うのだけれども、今回不信任を突きつけられた委員長の皆さん方は新城市議会においては多数派のお歴々なので、最後の採決で必ず不信任案を否決できる(実際そうなった)。
なので、どうせ否決できるのだからこの 2)の段階で「異議あり」と多数派のうちの誰かに言わせて、不信任案自体を議案にしなければよかったんじゃないかと思うのだが、実際そうはならなかった。
なぜか?
これはこの2)の段階では「異議あり」と言わない暗黙、あるいは議会運営上の慣習的なルールかもしれず、実際のところよくわからない。
どこかで機会があったら議員さんに聞いてみたいと思っている。

次に、この6回の決議にはなぜか市長や副市長といった行政のエライ人たちもずっっっと席に着いていたこと。
委員長の人事に関することに思われる今回の不信任決議案は行政には直接関係ないと思うのだけど・・・。
思いつくのは委員会や議会の開催要件の中に行政の出席があるのかな?ということぐらいだろうか。
いつもの全員協議会にはいないし、各委員会にも出席したとかいう事は聞いたことが無い。
しかしそうすると、この日の予算決算委員会は文字通り「委員会」だが、行政は出席していたことの説明にならない。予算決算は市民からの税金の使途に関係する重要な委員会ではあるけれども、何をもって「重要」か?は一概に決められないと思うので、ルールとしては曖昧だ。

というか、これは議員からの質疑に行政が回答しなければならないからか。予算決算議案の提出者が行政なのだから、その場に行政がいなければ回答できないな。

と考えると、不信任決議案は議員からの発議なので、ますます行政が会議場にいなければならない理由がない。
という感じで、ここでも議会運営のルールの謎にぶつかった。
取りあえずは市長はじめ、行政側のエライ人たちには気の毒なことだったと思う(早く帰るか、執務に戻りたいと思っただろう)。

次は「討論」のこと。
議会が始まる前に市のHPで公開される「発言通告書」。
これは各議員がその議会でこういう発言をしたい、という旨をあらかじめ伝えておく書類なのだけれども、その項目のなかに「発言の種類」というものがある。
「討論」もその発言の種類のなかのひとつで、その議案に対する賛成反対の理由を述べるものだ。

今回の6回の不信任決議案も最後には賛成反対の採決を取る。
なので討論も6回、反対賛成の立場の議員さんたちが自論を展開した。

今回のこの討論、とても聞きごたえのある場面だった。
特に不信任決議案に賛成している(議長、委員長を辞めさせたい議会少数派)議員の皆さんの発言には熱量が豊富にあると感じた。
不信任決議に反対(議長、委員長を辞めさせない議会多数派)の議員をどうにか説得したい、考えを改めてほしいという気持ちが感じられた。

議案の意味を理解するために「質疑」という発言があり、その発言で議案の意味が理解できたら、あとは議員自身の判断で賛成反対を決めて、採決。
この流れで十分と言えば十分だけれども、やはり市民としてはなぜ賛成なのか反対なのかを知りたいところで、その理由はこの「討論」で披露される。
なので「討論」での発言は、議員が市民に対して自分の考えを伝える役割が大きかったように思う。

ところが今回の討論での発言は対市民というより、対議員、その場にいる議員に対するメッセージ性を強く感じた。
考えてみれば自分の思うように議案を可決、否決させたいのが議員の本質だろう。
ならば自分と異なる意思を持っている議員の、その意思を自分の言論でもって変えさせようとするのが「討論」の場に相応しい態度というものではないか。

そしてその態度を強く感じたのが不信任案に賛成する、議会少数派の議員さんたちの発言だった。

ではなぜこんなに熱量のある発言が賛成議員さんたちから相次いだのかは、私のブログでもぼちぼち取り上げている「新城市議会政務活動費返還請求住民訴訟」に繋がってくるのだけれども、これはまた後ほど書くとして。

市議会では多数決で物事が決まる。
新城市議会では明確な会派は無いものの、今回の不信任決議案での賛成反対で表明しているグループ分けが存在している。
なので最後には必ず今回の不信任案に反対する多数派グループの考えが通ってしまう。
今回もそうだ。結局賛成派の発言は反対派の考えを変えるに至らなかった。

しかし結果的にどうなるかは分かっていても、あれだけ聞いている者の心情や理解に訴えかける発言が我が市の議員さんにもできるのだということがわかった。
そのような発言が、ルール通りにするすると流れていく市議会でも可能なのだという事がわかったことは、市議会の在り方に新しい楽しみを見い出せた気がする。


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2020年05月16日 Posted byけま at 12:21 │Comments(0)新城市議会

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