『人口政策』 各市長候補者のみなさんの比較

しばらく話題に上っていなかった「公開政策討論会」の概要が決まったようだ。

3会場でそれぞれ1つずつ、合わせて3つの政策について討論をする。
・人口政策
・産業政策
・市民自治政策

討論するこの御三方はそれぞれの政策について、すでにある程度の課題や知識を持っていると思う。それら課題や知識はお三方ともども共通して理解しているとも思う。
そうするとなにやらわからん単語を駆使した討論が始まるかもしれず、当日この討論を聞く私たち市民はいきなり置いてけ堀を喰らう可能性が高い(笑。

さて、すでに9月も終わりに近づき、ニュースでも市長候補の皆さんが事務所開きをしたとかいう話題を聞く。
各陣営も自身の政策をお知らせするチラシを配布したり、HPでの更新も盛んになってきているようだ。

穂積氏のHP → http://kiboutoshi.com/
白井氏のHP → https://461446.jimdo.com/
山本氏ブログ → http://takuya-y.jugem.jp/

というわけでこれらのHPやチラシを読んで、現在公表されている御三方の政策を自分なりに飲み込んでみようと思う。
どこが違うのかをそれなりに理解しておけば、討論会の内容もするっと頭に入るに違いないw
まずは『人口政策』から。

とりあえずHPやチラシなどから、「人口政策」に関係すると思われる個所を抜き書きしてみた。

穂積氏
・人口減少、少子高齢化、社会保障不安、大災害リスク、地方消滅の可能性。
「チームしんしろ」が立ち向かうのは、日本の抱える問題そのものです。
(マニフェストより)

・「支え合う力」×「稼ぎ出す力」で新たな雇用創出を。
 ・10年間で3000人、当面4年間で1000人の雇用増
 ・新城市の人口問題の核心は「若い世代の転出超過」
 ・この雇用増政策で世代のリレーができるバランスのとれた人口構成の道が拓かれる。
(マニフェストより)


山本氏
・『 新城市は、消滅可能性都市といわれているように危機的な状況なのです。人で言えばICUで集中治療が必要なレベルと捉えています。生命の危機のときに、助けるのは無理だなどと評論している場合ではない、回復させるために、あらゆる手を尽くすことしかないじゃないですか。 』
(ブログより)

・「とめる!」産廃問題をとめ、人口減少をとめる
  ・環境Gメンが産廃問題を解決する
  ・「人口V字回復プラン」を実行する
   (人口問題緊急総合対策本部を創設)
   (年600人減と加速度的に減る新城市の人口構造を改善し、まず減少を止める)
  ・ISO品質マネジメントサービスで無駄をとめる
(後援会ニュースNo8より)


白井氏



(画像をクリックすると大きな画像が別画面で開きます)

データが示す新城市の現実 → 若者の雇用を増やし、定住化を促進することが最重要。
・10年後のためのポイント1・雇用確保で人口減に歯止め
  ・観光振興によるまちづくり(財源・人材の選択と集中・鳳来寺山・湯谷温泉・戦国時代史跡・桜淵公園と中心市街地活性化)
  ・山林と田畑を活かして活性化(「健康な自治体づくり」=新城市の農業ブランド 農業を目指す若者 農業で雇用を増やす)
  ・エネルギーを山から(木質バイオマス発電 岡山県真庭市の例 関連産業の雇用増)
(市政報告資料より)


新城市の人口が減っていることは全市民が知っている当たり前の事実なのだけれども、具体的にどんな感じで減少しているのか?
我々市民としては、まずは「具体的な事実・現実」を3氏がどのように把握しているか知っておきたいところだと思うのだが、上の3氏の政策にはそこのところから違いが見て取れる。

山本氏は赤字のところでわかるように「年600人減」。
白井氏は市政報告会資料で具体的なグラフ画像を明示。
お2人とも減少傾向を具体的な数字、グラフで訴えているのに対し、穂積氏はどうかというと。

・「人口減少」→日本の抱える問題そのものです。

そうだね、新城市も日本の一部だものね。
でもこの書き方って、

( 穂積)< 「新城市だけが人口減少しているわけじゃなくて、日本全体がそうなんだからさ、(仕方ないじゃん、オレ(穂積)のせいじゃないワケよ)」

って、感じだね。

新城市の人口減少の事実・現実に触れていない。事実・現実を見つめていない感じ。
もちろん自分でちょいと調べるか、なんなら市のHPのトップに「人口・世帯数」の欄があるからね。そこを見ろってことかもしれない。
しかし12年間市政を預かっていたのに、人口減を率直に認めない態度だと感じる。
つまり前のブログでも書いたけど、穂積氏のみが責められる立場であるところの「市政12年間を預かった市長の実績」は、穂積氏自身もネックであることを自覚しているんだろね。ハッキリさせたくないところなんだろう。


では現状を把握したところで(穂積氏のその記述はないけれど)、次は具体的な政策をどう打つか。


白井氏の切り口は、『 雇用確保 』そして『 定住化 』
観光と農業と木質バイオマス発電。この3つの柱で雇用を生み出し、雇用の増加 → 雇用者の市内定住 → 人口増加を図るというものだろう。

人口政策には色んな切り口があるが、白井氏の政策は奇をてらわないごく基本的なものだと思う。

少し気になるところは、この政策で「○○人の雇用が創出されます」というような具体的な数字が出されていないところだ。
白井氏の政策の重点は「稼げる化」で、市の財政に余裕を持たせることに焦点を置いている。
その「稼げる化」に伴い「雇用創出」=「人口増」も期待できる、という論法だと思う。
なので雇用創出の具体的な数字をあげることに拘っていないのかもしれない。

ところが、白井氏はご自身の議会通信「6月議会ダイジェスト」で、市長との討論において市長から「152名の雇用が実現した」という答弁を引き出している。
そして穂積氏は自身のマニフェストでも雇用創出の具体的数字を出している。
相手が数字を出しているところでこちらが数字を出していないという状況は、『討論の場』においては不利ではないか?と少し心配だ。


穂積氏の切り口は、『 昼間、市外へ流出する就業者数分の雇用増 』。
一言で書くには少し難しいw

これはかなり狙い目を絞った具体的な政策だと感じる。
データによると新城市の就業人口26000人(新城市に住んでいる人)の内、市外へ出ていく人が8000人(新城市に住んでいる人)。
そして新城市外から市内へは5000人(新城市に住んでいない人)が流入している。

つまり働く人は、差引3000人が昼間新城市外へ出ていき、その3000人は夜に新城市に帰ってくる。

この昼間出ていき夜帰ってくる人たちの働く場を新城市に創出することで、元々新城市の抱えている就業者人口が一日を通して市内に留まっている状況を作り出そうとしている、といえるだろうか。
(3000人の市内雇用を創出するならば、就業者の「昼夜間人口」(昼間の人口/夜の人口)が均衡します。←マニフェストより)

一見、「なるほど」と思う。
そっか、3000人増やすのか。昼夜間人口の均衡か。均衡=バランスが取れるのはイイ感じだな。
て感じ?

しかしよく読んで、考えてみる。
市外から市内に働きに来てくれる人が3000人増えれば目標が達成される、ともいえる。
『 市内に住んでいる人を対象に 』3000人の雇用創出。とは一言も書いていないのだ。

・3000人の市内雇用を創出するならば、就業者の「昼夜間人口」(昼間の人口/夜の人口)が均衡します。
・新城市の人口問題の核心は若い世代の転出超過が続いていること。この雇用増政策で世代のリレーができるバランスのとれた人口構成の道が拓かれます
(マニフェストより)
  ↑
この文は、

昼夜間人口の均衡(3000人の雇用増)→若い世代の転出超過を防ぐ→バランスのとれた人口構成

という構造だ。(これ以外の解釈があるならご教示ください)

3000人の雇用増は市外からの雇用者増でも達成できる目標数だ。
市外からの雇用増が「バランスのとれた『人口構成』」に寄与するだろうか?
3000人の雇用者が市内に住んでくれてこそ、新城市のバランスのとれた人口構成に寄与してくれると言えるだろう。

だから先の文が意味を為すには、マニフェストのどこかに『増加した雇用者の定住化』と同じ意味を持つ言葉がなくてはならない。

例えば先に挙げたマニフェストの文章を、

・この雇用増政策で 『 増加した雇用者の定住化が達成されれば 』 世代のリレーができるバランスのとれた人口構成の道が拓かれます」

こんな感じに『』部分が加えられていればしっくりと意味が通る。

具体的な雇用増の数が明示されているのは結構なことだが、「市外からの雇用増」なのか「市内定住化を伴う雇用増」なのか。
ここをハッキリさせなくていけない。


山本氏の切り口は、『人口V字回復プラン』『人口問題緊急総合対策本部の創設』。







































































































































人口V字回復プランの4つのステージにそれぞれ具体策は書いてある。
例えば「出ていく人を減らす」ステージには「オンデマンドバスなど過疎地対策」。

オンデマンドバスは「やさしい」にある玄関バス事業が相当するのだろう。
こんな感じで、多分「やさしい」「まもる」「もりあげる」「とめる」の各部に書いてある事柄を実行することで、『人口V字回復プラン』が成されるのだろう。

ではそれらを実現する財源はどうするのだろうか?
山本氏のブログ「政策説明(歳入を増やし減税することをめざす)」
 → http://takuya-y.jugem.jp/?eid=3144

ここに財政に関わる記事があるのだが、具体的なのは「人口増減に連動した市長給与にします。」、「市長給与35%減」、この2点だろうか。
市長の働く気構えとしては「おおそうか、頑張れよ」と言ってあげたくなる。
そして市長の給与が下がるのを眺めるのは、市民の気晴らしとしてはそれなりの効果があるだろう。
しかし、それでオンデマンドバスを運行させる財源が確保されるのか?

白井氏の「稼げる化」や穂積氏の「支え合う力」×「稼ぎ出す力」というコンセプトは、財源を生み出す策としてかなり具体的なモノを示している。
その財源を確保する政策が、同時に人口政策を伴わせているような仕組みだ。

山本氏の人口政策はその実現への具体策に乏しい印象だ。
どういう実力(財源、あるいは人の力?)でもって人口減に歯止めをかけて、人口増を目指すのか。
人口政策を推し進める具体的な『 実力 』を示せないだろうか。


とても長くなってしまったが、まずは人口政策の比較をしてみた。
つぎは産業政策をやってみよう。  

2017年09月28日 Posted by けま at 11:32Comments(0)市長選挙

現職と新人の差

夏休みの8月6日~27日「えんとつの町のプペル展」というイベントが新城市大野の鳳来館で開催されていた。
旧鳳来町大野という必ずしもアクセスの良い場所ではなかったが、かなりの来場者があったようだ。

市議会議員の中でも足を運んだ方がいらっさる。

・柴田議員 → https://www.facebook.com/kenbo888/posts/877879949043323?pnref=story
・小野田議員 → https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1437481312998088&set=a.212961782116720.51579.100002087009035&type=3&theater

ご自身のfacebookで記事にしてくれている。
市議会議員の中で他にも行った方はいるかもしれないけれども、自ら情報発信してくれないとわかりませんなぁ。

で、コチラの方も足を運ばれたらしい。
https://www.facebook.com/poupeIIe.shinshiro/photos/a.1400838973321587.1073741828.1349323845139767/1572546499484166/?type=3&theater

見てもらえればわかるが、この画像は穂積氏。
これをアップしたのは「えんとつの町のプペル展in新城」という今回の主催者のfacebook。
穂積氏は自身のブログもあるしfacebookもあるのだが、そちらではプペル展に行ったなどとは一言も書いていない。

この違い。この差。
これが現役の市長の持つネームバリューというものだろう。

ちなみに市長選候補者の山本氏、白井氏は足を運ばれたのだろうか。
仮に運んでいたとしても、「プペル展in新城」側としては掲載するうま味がないと思うだろう。
『 会場のある市の市長も来場! 』なら宣伝効果も見込めるというものだが、市長選候補者なんてタダの一般ピーポーだでのん。
白井氏にはまだ「会場のある市の市議会議員」とう肩書はあるものの、先に挙げた柴田、小野田議員の扱いを見れば、宣伝効果はあまりないナ、と「プペル展in新城」も考えたに違いない(と思う)。


前々回の記事で政策討論では現職穂積氏が有利ではないか?と書いたが、今回の例でもわかるように「現職の市長」という立場はそれだけで相当な宣伝効果があるように思う。
市長選挙に立候補することはすでに表明いているのだから、どこかに呼ばれて顔を見せてそこで「新城市長の穂積氏です」と紹介されれば、そこにいる人たちは「今度の選挙に出馬する人だな」と、紹介されたつもりが宣伝されていることになる・・・、と思う。

かように現職と新人が選挙で争う選挙では現職がかなり有利と思われる。
つまり公平ではないんじゃないかと。

・・・などという視点は現職のアラ探しに繋がるのでタテマエ的には不純だけれども、一つ思いついた。

現職にあって新人に無いモノといえば、「市長職を3期12年務めた」という実績だ。
この12年で新城市は一体どう変わったのか?
市民の生活は12年の間でどのような変化があったのか?
この総括は為されなければならないだろう。

未来を語るこれからの政策も大事だろう。
しかしこれまでがどうしようもない実績だとしたら、そんな人に未来を任せることに二の足を踏んでしまわないだろうか。
どうしようもない実績を持つ人に投票するくらいなら、実績が無く未知数だけれども新人に投票したい、そう思わないだろうか。

今までの実績を公開の場で審議される、そんな機会が持てないだろうか。
現役市長が一方的に言い詰められる、そんな場面が想像できるけれども、先に挙げた現役市長有利な点を考えればコレもアリではないかと思う。
公開政策討論会で実現できないだろうか?

ちなみに市長は自身のマニフェストを自己採点して発表している。
http://www.city.shinshiro.lg.jp/index.cfm/7,0,120,579,html

市のHPの市長の部屋にある「マニフェスト」がそれだ。

試みとしてはなかなか良いと思っている。
政策の言いっ放しになっていないところに好感が持てる。
しかしやっぱりそこは自己採点。他人、つまり市民からどう評価されたのかも大事なのではないか。

公開政策討論会の場でやるには、まず「政策討論」ではないし、何より穂積氏がイヤがるだろう。一方的に意見を言われてしまう、そのイメージが印象付けられることを嫌うだろう。

かなりムリだろうとは思うが、

1)壇上には私たち一般市民より見識の高い市民代表が2人いること。
2)公開の場で過去の実績が審議されること。

この2つのメリットのある場で現職市長の過去の実績を審議することは、私たち市民が次の市長を考える上ではとても大きな材料になるはずだと思う。  

2017年09月07日 Posted by けま at 07:21Comments(0)市長選挙